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オランダにおける日本国籍者の「労働許可」問題に関する一連の動きと今後の影響について

      2016/07/18



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オランダ
先日オランダ移民局から急きょ発表された日本国籍者の「労働許可」制度に関する件について、オランダ移住を予定されている方々や現地在住者の方々から多くのお問い合わせを頂きました。

あらゆる情報が錯綜しある種の混乱状態になっていましたが、日が経つことによって各所からの情報も十分収集できたので、「オランダでの日本国籍者の労働許可」制度に関するこれまでの一連の動きと今後の影響について、改めて詳しくまとめてみようと思います。

以下、目次に沿ってお伝えします。

 

「オランダでの日本国籍者の労働許可」制度に関する一連の動きと今後の影響について

1.オランダで日本国籍者に認められている「労働許可」とは

まず本題に触れる前に、オランダにて日本国籍者に認められている「労働許可」制度について少し紹介します。
(すでにご存じの方は繰り返しとなるため、そのまま2へお進みください)

2014年12月よりも以前において、日本人が現地企業に雇われながらオランダで滞在する場合にはもともと「労働許可」の取得が必要でした。

※「労働許可」とは、オランダ国内の雇用機会が外国人によって安易に奪われないようにするために設定されたもので、オランダまたはEU国にて適切な人材が見つからないと雇用側が証明できて初めて発行される証書のこと。

しかし、2014年12月24日に発表された労働許可をめぐる裁判結果をきっかけに、日本人はオランダ国内において労働許可無しでの就労をすることが認められるようになりました。

これにより日本人のオランダ就職に対するハードルが下がり、実際に現地企業に就職する日本人も出てきたのです。

2.オランダ移民局からの突然発表

オランダ移民局は2016年6月21日、これまで日本国籍者が労働許可の取得無しにオランダで就労することが認められていた特別条件を、2016年10月1日以降(予定)、これまで通りの「労働許可の取得を要する状態に戻す」という内容の記事を公式サイトに掲載しました。

それに合わせて、オランダ経済省 企業誘致局(NFIA) からも、当件に関する速報がありました。

上記発表が行われた当日の一連の動きは以下記事でまとめてます。

▼「オランダにて日本国籍者に認められていた「労働許可無しでの就労」が2016年10月1日より廃止に?!」




 

3.突然発表の背景と弁護士の見解

では、なぜ上記のような発表が今このようなタイミングでされたのでしょうか。

当発表をこのタイミングで行った移民局側には一体どんな背景があるのだろうと気になって調べていたところ、2つの弁護士事務所それぞれの見解が示されている文言を見つけました。

まずは、Adam&Wolf移民弁護士事務所ジャパンデスクのFacebookページにて記載されていた以下文言。

日本国籍を保有する人物が、蘭日通商協定に基づく滞在許可の申請手続きをする際に€ 1296の申請料を支払わなくてはならなかったことに対し、異議を申し立てました。スイス国籍保有者が支払う滞在許可申請料は€ 50です。その人物の主張は、「松風館」ルールによりスイス国籍保有者と同等に待遇されるのであれば、申請料は€ 50であるべきだ、というのもでした。
裁判は2016年6月21日に行われました。その際、IND(移民局)がオランダとスイスとの間に締結された協定についての見解を提出しました。その中に、1875年のオランダ、スイス間の協定により、スイス国籍保有者はオランダでの就労に際し、労働許可の取得が必要である、との記述がありました。結果、INDは日本国籍保有者も同じく労働許可の取得が必要であると主張をしたのです。
この判決の確定までには6週間から8週間かかります。 その結果が出て初めて、日本国籍保有者が労働許可を取得しなくてはならないというINDの主張をオランダ法廷が認めるかどうかが分かります。しかしながら、INDはこの裁判と同日に既に日本国籍保有者は労働許可の取得が必要になるという情報をウェブサイトに掲載しています。

参照:Adam&Wolf移民弁護士事務所のFacebookページ

まず前提として、オランダでは労働者として就労する形だけでなく、個人事業主またはフリーランサーとして起業することによって居住許可を取得することも日本人特権の一つとして認められています。

そして、その「起業による居住許可取得」にかかる申請料は現在1296ユーロ。

日蘭通商航海条約に基づき、オランダでは日本国籍保有者にはスイス国籍保有者と同等の特権「最恵国待遇」が認められるため、上記の申請料もスイス国籍者と同じ50ユーロなのではないか、という意見が出てきたことから、申請料に関する裁判が2016年6月21日に行われていたようです。

これに対し、匿名メールや現地日本人コミュニティーでの噂を通じて「あなたがこの裁判の当事者だ」「あなたのせいでオランダ在住日本人みんなが困っている」といった内容のご意見を頂くことが何度もありましたが、まず私は2016年6月21日に行われた裁判の当事者ではありません

オランダの裁判所に訪れたこともまだ一度も経験ないですし、当日そのような裁判があったことすら知りませんでしたので。

また、この裁判を実際に起こしたご本人に関しても、法律の内容に従った真っ当な意見を主張しているだけであるため、それについて責め立ててくる人がいる理由もよくわかりません。

法律内容でおかしいと思う点について主張する権利は誰にだってあるはず。それを自分の都合のことだけを考えて相手を責め立てるのは、明らかにおかしいと思います。

 

続いて、上記とは別の弁護士Julien Luscuereは、Linkedinの記事にて以下のように話しています。

ちなみに彼は、日本国籍者の労働許可不要となるきっかけとなった2014年12月24日の裁判を手掛けた弁護士本人です。

I have not encountered clients who only were interested in 'a free ride' in the Dutch society. Sources at the ministries told me that the government is aware of that, and that the main reason for the recent "interpretation" is to prevent other third country citizens to use the Swiss treaty as the same spring board. However, that objective could have been accomplished in a more transparent and democratic way by amending the treaties with those countries, like Yemen, Ethiopia, Columbia, and so on.

参照:Julien LuscuereによるLinkedinでの記事「Japanese work and residence rights dutched by surprise attack of Minister Bert Koenders」内の本人コメント欄より

上記コメントにも記載のある通り、スイス国籍者と同等の「最恵国待遇」という特権が日本国籍者にあったように、エチオピアやイエメン、コロンビアといった他国籍者もそれぞれの特権を見つけ居住権利を求められる可能性が出てくるのではないかということを懸念したゆえの決断であったことも主な理由の一つであると、外務省内にてつながりのある関係者から事情を聞いているようです。

上記でも見られるように、弁護士によっても当件の背景に関する見解は全く同じではありません。

その他、現地の移民局本社係員や日本大使館、外務省にも何度か確認しましたが、まだまだ当件の全貌についてはまだ誰にも確証の上ではっきりと見えていないというのが個人的な印象です。

4.今後影響を受ける可能性があること

当件に対して今後影響を受ける可能性があることについて、Adam&Wolf移民弁護士事務所では、政府評議会がINDの決定を容認する場合としない場合の2通りの可能性を想定し考えられるシナリオそれぞれについて、以下のように話しています。

シナリオ1:政府評議会がINDの決定を容認しなかった場合
全て現行の通りです。日本国籍保有者は滞在許可を取得すれば自動的にオランダの労働市場への自由なアクセス権を得ることができます。
滞在許可の種類は問われません。
弊事務所では、日本国籍保有者に適用される申請料はスイス国籍保有者と同じ50ユーロに下がることはなく、今後も高額な申請料を支払うことになると考えています。
オランダと日本の間に結ばれた、蘭日友好通商協定の存在により、日本国籍保有者はスイス国籍保有者と同じように優遇されます。
しかしながら、日本国籍保有者がスイス国籍保有者であるとみなされる訳ではありません。

シナリオ2:政府評議会がINDの決定を容認した場合
オランダの政府評議会が、1875年にスイスとの間に結ばれた協定を根拠に日本国籍保有者もスイス国籍保有者と同等に優遇するという現在の措置を辞めるという決定を下した場合、 「松風館ルール」が確定された2014年12月24日以前の状態に戻ります。
たとえそうなった場合でも、1956年にオランダとアメリカの間に結ばれた蘭米友好協定を根拠とし、日本国籍保有者は引き続き優遇され、以下の通りの結果となります。

被雇用者: 日本国籍保有者がオランダ国内で被雇用者としてとして就労している場合、雇用者側が被雇用者の労働許可を取得する、もしくは知的労働者としての給与規定を満たす必要があります。
自営業 :日本国籍保有者で、オランダ国内で起業した場合、フリーランスとして仕事を請け負うことは勿論可能ですが、被雇用者として就労することはできません。
家族 :日本国籍保有者で、オランダ国内で被雇用者として就労、もしくは起業している場合、家族の滞在許可を取得することができます。しかしながら、現在のように家族にオランダの労働市場への自由なアクセス権が自動的に付与されることはありません。
既存の滞在許可 :オランダの労働市場への自由なアクセスが許可されているオランダの滞在許可を既にお持ちの場合、被雇用者、自営業の種類を問わず次回更新時にはオランダの労働市場への自由なアクセス権を失います。
1956年の蘭米友好協定は家族の同居を保障しています。従って、日本国籍保有者は2016年10月1日以降も引き続き家族の滞在許可を容易に取得することができます。

参照:Adam&Wolf移民弁護士事務所のFacebookページ

※上記文言に出てきた「知的労働者」の条件については、移民局公式サイト該当ページに詳しく載っています。

ちなみに、私は個人事業主としてオランダに滞在しておりますが、もし政府評議会にてINDの決定を容認した場合には、これまで通り居住許可の維持・延長には問題ないものの、被雇用者として働くことができなくなります。

5.移民局が制度変更日を2016年10月1日⇒2017年1月1日に(2016.07.18追記)

2016年7月15日、オランダ経済省企業誘致局(NFIA)より当件に関する新しいニュースがありました。以下、抜粋です:

先ごろ、オランダ、スイス両政府による1875年施行の「スイス/オランダ二国間条約」の見直しが行われ、同条約の協定条項が無効となりました。
(途中省略)...これにより、日本国籍者は2017年1月1日以降、労働許可と居住許可を要する状態に戻ることになりました。

参照:日本国籍者の労働許可、居住許可について

ということで、移民局側は当初掲示していた日付「2017年10月1日」⇒「2017年1月1日」へと制度変更までの期間を延ばしたことになります。

移民局公式ウェブサイト上の当件に関する最新記事「NewsJapanese nationals no longer free on the labour market as of 1 January 2017」によれば、上記のように期間を延ばした理由としては、現地で働く日本人や企業のことを何も考えずに措置を取ったことに対する意見が各所から届いたことから、制度を元に戻すまでの十分な準備期間を与えるために日程を伸ばすという措置を取ったとのこと。

これをもって日本人は、2017年1月1日までの間は、現在と同じように労働市場への自由なアクセスが確実に認められます。

以上、現時点で私がわかることについて情報シェアさせて頂きました。

あくまでもご参考までに役立てて頂ければ幸いです。

※1.Adam&Wolf移民弁護士事務所と弁護士Julien Luscuereより、当記事にて文言を転載する旨許可を頂いております。
※2.法律や制度は常に変わりますので、必ずご自身でも随時ご確認願います。


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